2009 Fiscal Year Annual Research Report
復興・開発援助外交とアジア地域秩序の形成-フランスのベトナム戦後援助構想-
Project/Area Number |
20530134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳥潟 優子 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 助教 (60467503)
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / アジア / 復興援助 / 戦後秩序形成 / フランス外交 |
Research Abstract |
本研究では、1960年代末から70年代前半にかけて、ベトナム戦争終結後の安定的なアジア地域秩序形成を目指して、米仏など西側主要国間が展開した、ベトナム戦後復興・開発援助をめぐる国際関係の歴史的展開を実証的に分析する。この事例分析を通じて、復興・開発援助の国際関係をドナー(援助国)側から分析するための理論的視座を提供することを目指している。 本年度は、なかでもフランスでの追加的な資料収集に取り組んだ。昨年、フランス外務省資料室が郊外へ移転のため閉鎖されていたこと、さらに遅れていたポンピドー政権期の大統領文書の閲覧許可を、ようやく09年秋に得ることができたためである。09年12月には、パリの国立公文書館でポンピドー大統領府文書の南北ベトナムの資料を中心に資料収集を行い、ポンピドー大統領府のベトナム戦争へ対応政策や戦後復興に対する立場を確認することができた。ただし、資料はコピーや写真撮影が禁止されているため、閲覧には多大な時間を要し、引き続き10年2月に渡仏し、ベトナム関係資料及び対米政策全体に関する資料を中心に読みこんだ。また、外務省では、ベトナム戦後復興をめぐる日本の政策をフランスがどのように分析しアジアにおけるフランスのプレゼンスの強化を図ろうとしていたか調査を行った。引き続き、次年度もポンピドー大統領府文書の中国・ソ連関係を調査し、ベトナム戦争終結過程をめぐるフランスの対応を包括的に探る予定である。 なお、今年度、本研究の中間報告として、09年11月、国際政治学会においいて「フランスのインドシナ復興援助外交とアジア地域秩序形成-ポンピドゥーはなぜインドシナをめぐる国際政治から撤退したのか? -」と題する報告を行い、学会ペーパーを提出した。
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