2009 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮分断の構造形成に関する研究(1950~1960年)
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20530136
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 善宣 Saga University, 文化教育学部, 准教授 (80270156)
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Keywords | 金日成 / 朴憲永 / 毛沢東 / ミコヤン / 崔庸健 / 徐輝 / 金剛 / 8月宗派事件 |
Research Abstract |
平成21年度はモスクワを中心としたロシア資料を調査、収集する計画であったが、実際にいくつかのロシア資料館(Arhief)に申請書を提出したところ、そのうちの一つで最も重要と思われるロシア社会文化史資料館が内部工事のため調査に出かける9月にも休館中である事実が判明した。このため税金たる科研費の有効活用という観点から、21年度は予定を変更して米国立記録保管所(NAII)で調査未詳として残っていた米中央情報部(CIA)資料を調査、収集した。ロシア訪問は、次年度の課題としたい。 また、中国の太原に住む北朝鮮の元文化宣伝副相(副大臣)の金剛氏と5年ぶりに接触し、彼からの聞き取り調査と所蔵資料の購入に道筋を付けただけでなく、元韓国政府統一部長官である李鍾?博士から北朝鮮の元職業総同盟委員長である徐輝の証言テープを再録したものをUSBの形で譲り受けた。この証言テープの掘り起こしから編集、刊行は朝鮮族の大学院生と協力して進めるものの、次年度の仕事として持ち越したい。 さらに、北京大学副教授の金東吉氏と交流関係に入り、彼が中国共産党档案館(資料館)から探し出してきた極めて貴重な資料を譲り受けた。同時に、上述の金剛氏の資料に関しては、北京大学と協力して購入を進める体制となった。日韓併合100周年に当たる次年度、金東吉氏には東アジア学会20周年記念大会にも参加してもらう予定である。 平成21年度の資料調査は、前年度から続いて次年度へ向かう過渡的な時期に当たり、研究発表という形で成果を出すまでには至っていないものの、第2作目の著書に集大成される重要な発見、特に米国資料による北朝鮮内部の権力構造の再確認や最高指導部における北朝鮮と中口との関係認識において、大きな前進を果たしたと評価できる。
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Research Products
(7 results)