2010 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮分断の構造形成に関する研究(1950~1960年)
Project/Area Number |
20530136
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 善宣 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (80270156)
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Keywords | 朴憲永 / 金日成 / 朝鮮戦争 / スターリン / 毛沢東 / 粛清 / 個人崇拝 / 独裁体制 |
Research Abstract |
平成22年度は当該研究の最終年度に当たる年として、研究の目的に従って朝鮮分断の構造形成を示す資料を米・中・韓で発掘する同時に、その仮説を裏付けるため韓国の現代峨山や北朝鮮の朝日友好親善協会などで関係者と面談して意見交換を行った。 その結果、ひとつは北京大学韓半島研究中心(朝鮮半島研究センター)において同大学歴史学系副教授の金東吉氏が北朝鮮と中・ロ・東欧諸国との間で冷戦時期に交換した膨大な外交文書を所蔵している事実を突き止めた。もう一つは、北朝鮮をめぐる国連の動きを夏季休暇期間中に現地NYCのUN本部で調査、朝鮮停戦後に開催された1954年の「ジュネーブ政治会議」以降、国連が朝鮮分断構造から来る機能的な弊害ゆえに「朝鮮問題」解決に何らの役割も果たせなかった事実が判明した。 これらの成果は、現在執筆中で2011年度中に刊行される第2冊目の著書『朴憲永と朝鮮現代政治:「対立の相互依存」構造の形成過程に関する研究』で詳細に論じられる。これと併行して、2011年度から3年間の科研費課題「海外所蔵北朝鮮関連資料の収集・翻訳・刊行調査研究1948~1991」に取り組み、『北朝鮮政治・外交資料集』第1巻「中国編」の刊行に見通しを付けた。このような著書と資料集の出版へ導いた研究成果は、これまで日本の研究者が誰もなし得なかった部分であり、その成果発表へ至る道を切り開いた点で極めて意義深いと言わなければならない。
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Research Products
(4 results)