2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
R・A Braun 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90329334)
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Keywords | 最適金融政策 / 不完全市場 / 内生成長 / 危険回避 / 異時的代替 / 確率変数的成長モデル |
Research Abstract |
研究最終年度となる22年度は3つのプロジェクトを行った。1つ目として、家計が直面する人的資本への無保険のリスク-個人の資産価値に関連している-のある環境下における最適金融政策の性質を分析するプロジェクトを完成させた。最近の金融危機で人々は失業し、同時に主要な個人資産の価値も失うということを経験した。これら無保険のリスクのモデルを発展させ、最適金融政策の性格を分析した。導き出した結果として物価安定のレベルを維持する金融政策を提示した。 次に関連したプロジェクトとして、完全市場と不完全市場のモデルにおける長期リスクの役割について分析した。先行研究は家計の消費決定は予測した実質利子率に非常に敏感であることを明らかにした。しかし、実際は解きほぐすのが非常に難しい二つの要因からなっている。すなわち家計が将来のキャッシュフローをどう値下げするか、ということと、異時的代替の弾力性である。我々は確率的内生成長のモデルを発展させ、これらの要因が解きほぐされたなら異時的代替の弾力性が非常に遅くなるということを明らかにした。一つの示唆として政府の購買が増加することは大きな生産効果がある、ということを挙げることができる。 また、動学的経済モデルにおける密度計算に関する研究も継続して行った大数の法則 を発展させ、この理論的結果がいかに密度計算において多方面に実用的応用ができるかを描いて見せた。その一つの例が不完全市場である。集合的資本のダイナミクスを理解するには家計は資産保有の配分を予測しなければならないのである。
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