2009 Fiscal Year Annual Research Report
「教育を与える側」の人的資本蓄積メカニズムを組み入れたマクロ動学モデル分析
Project/Area Number |
20530151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳原 光芳 Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80298504)
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Keywords | 教育政策 / 教育の経済学 / シミュレーション / マクロ経済動学 / 人的資本蓄積 |
Research Abstract |
本研究は,学校・教師の最適化行動を組み込んだ二部門世代重複モデルで,教育セクターの経済成長に果たす役割を明らかにすることを目的としている。本研究では,労働者が自らの教育水準によって,財生産あるいは教育セクターに労働供給を決定するとの想定から,教育供給と財供給の間のトレードオフ,すなわち将来の世代と現在の世代との間の経済厚生におけるトレードオフを扱う。その前提となる,公共財が導入されている2部門世代重複モデルは昨年度においてすでに構築されており,本年度はそれをより精緻化し,3つの学会において「International Trade and a Public Intermediate Good in an Overlapping Generations Model」のタイトルで報告を行った。そこでは,内容は昨年と同様であるが,その直観的な説明を行うに当たり,図などをより効果的に用いて行った。 また,もう1つの研究「日本における教育補助政策の経済成長・人的資本蓄積に与える影響」では日本の人的資本蓄積と政府の教育に対する補助率との関係について,シミュレーション分析を行った。本年度の計画では,当初上の2部門世代重複モデルに基き日本の教育政策のマクロ経済上の効果を見ていく予定であった。このシミュレーションが基礎としたモデルは,1部門の世代重複モデルであり,2部門モデルによるシミュレーションの前段階の位置づけであるといえる。このシミュレーションからは,現在の補助率よりもやや高い補助率の方が,短期的・長期的に見て現実的に妥当な水準であることを数値的に導き出している。
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Research Products
(2 results)