2011 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しゲーム理論における非フォーク定理的アプローチ
Project/Area Number |
20530153
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 格 京都大学, 経済研究所, 准教授 (20314461)
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Keywords | 繰り返しゲーム / 不完全公的観測 / チーム生産 / 協調可能命題 / フォーク定理 / カルテル / 多市場接触 / 需要変動 |
Research Abstract |
フォーク定理の前提条件を満たさない繰り返しチーム生産ゲームの研究を更に推進し、各期のゲームが囚人のジレンマの一変形となる場合を分析した。具体的には、全てのメンバーにとって怠けるのが強支配行動になる点は囚人のジレンマと同じだが、全員努力するのがチームにとって最も効率的な結果ではないゲームを考察した。これは、メンバーの努力の代替性が強く、収穫逓減になっているケースに相当する。そしてこのクラスのモデルで、協調可能命題が一般に成り立つことを示した。すなわちこのモデルで利得和が最大となるのは一部のメンバーのみが努力する状態だが、そのときの利得和を近似的に達成する均衡が、メンバーの割引因子が1に十分近いとき存在する。加えて、効率的な利得和を厳密に達成する均衡が存在する必要十分条件をも導出した。この協調可能命題とフォーク定理の関連を捉えるために更に分析を進め、このクラスのゲームの広い範囲において、均衡として近似的に達成できない個人合理的かつ実行可能な利得ベクトルがあることを示し、フォーク定理が実際に成り立たないことを明らかにした。 また、割引因子が小さい繰り返しゲームモデルの一例として、各期の利得がその期にならないとわからない確率変数であるケースについて分析した。ベルトラン競争あるいは公共財供給を具体例とするモデルを定式化し、利得の不確実性の下で最大限達成可能な均衡利得を任意の割引因子の下で特徴付けた。次にこの結果を、景気変動下のベルトラン競争における多市場接触の効果の分析に応用した。文献では、景気変動はカルテルを維持しにくくする要因である一方、多市場接触にはカルテル促進効果があることが知られている。これに対し、景気変動のカルテル抑止効果は市場数が無限に近づくにつれて消滅するという極限命題を示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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