2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530158
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飯村 卓也 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 教授 (50972634)
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Keywords | 非分割則 / 離散不動点定理 / 方向保存性 |
Research Abstract |
今年度はJournal of Fixed Point Theory and Application誌にZ.Yang氏との共蓍論文1本と,Pacific Journal of Optimization誌に単蓍論文1本を公表し,また,今年度の計画にあげていた不動点求解のアルゴリズムに関して,主に市場の模索過程を対象にして予備的な研究を行った. 共蓍論文では,粗代替性を意味する準線型Mナチュラル凹効用関数を持った主体の交換経済の超過需要対応や,優モジュラー性を意味するLナチュラル凹利得関数を持った主体の非協力ゲームの結合最適対応が,いずれも方向保存性と呼ばれる性質を持つことを示して,ワルラス均衡やナッシュ均衡の存在を離散版の中間値の定理を使い,証明している.単蓍論文では,整数価格のもとでの交換経済のワルラス均衡の存在について,離散凸性からはなれて方向保存性のみで議論をした. 不動点求解のアルゴリズムとしての模索過程の研究については,来年度に結果をまとめる予定でいる.この研究の過程ではまた,いわゆる不動点アルゴリズムと呼ばれるいくつかの先行研究を点検したところ,Spernerの補題や拡張されたSpernerの補題の対偶命題として,離散化された単体やその直積のうえで成り立つ離散版の零点定理があることを発見した.この結果は現在他の共蓍者たちと投稿準備中である.来年度はこの結果の持つ意味などについても考察を進めたいと考えている.
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