2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530158
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
飯村 卓也 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (50972634)
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Keywords | 非分割財 / 離散凸性 / 均衡の存在 / スペルナーの補題 |
Research Abstract |
研究実施計画に書いたとおり,本年度はまず,標準単体及びその直積の標準単体分割の上で成り立つスペルナーの補題と同値な離散零点定理の研究を共同で行い,成果を論文(1)に公刊した.現在雑誌に改訂版を投稿中である.これについては3月の東工大でのゲーム理論学会(学会(1))で発表したほか,6月の日洪離散数学シンポジウム(於・京都大学)で報告を予定している.これは資源配分問題とは異なる応用のものであるが,均衡問題の分析手法の発展を意図した意義と重要性を持つと考えている. 本年度のもう一つの研究と成果は,需要集合の和の凸包内にある与えられた非分割財の財ベクトルが,実際,需要集合の要素の和として表せるための条件,すなわち与えられた財ベクトルが効率的に分配可能であるための条件を,一般的に考察したものである.研究計画最終年として,難しいが研究目的そのものともいえるこの問題に,挑んでみた.これまでそのような条件としては,需要集合がM凸性をもつことというものが知られているが,本研究ではある意味それを一般化した条件を与えている.この成果は学会(2)で発表し,論文(2)に公刊されている.この論文で示している条件はしかし,かなり制約的である(Proposition III-1およびIII-4).今後の方向性としては,自然に分配が可能となるための十分条件の緩和よりもむしろ,分けにくいものを分ける工夫といった視点で非分割財の資源配分問題を考え直してみたい.
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Research Products
(4 results)