2009 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少社会のもとでの経済システムについての理論的考察
Project/Area Number |
20530159
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桃田 朗 Osaka Prefecture University, 経済学部, 准教授 (30309512)
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Keywords | マクロ経済学 / 人口経済学 / 経済成長理論 / 少子高齢化 / 人口減少社会 |
Research Abstract |
平成21年度には,経済問題と人口問題との関係を主たるテーマとし,平成20年度に行った活動をさらに発展させながら研究を進めてきた。特に「晩産化が経済成長経路に及ぼす効果」に関する理論分析を中心に行い,その成果を論文「The Nonstraightforward Relationship between Population Growth and Economic Welfare in a Neoclassical Growth Model」にまとめた。わが国でみられる少子化は「少産化」と「晩産化」が背景にあるといわれる。少産化が経済成長に与える影響を理論的に分析した研究はこれまで多く存在する一方で,晩産化がマクロ経済にもたらすインパクトについてはほとんど分析されてこなかった。この研究では晩産化が経済成長にもたらす影響は,少産化が経済成長に対して与える影響とは全く異なることを明確に示している。少子化が進む中,わが国の経済構造がいかなる方向に変化しうるかについてのビジョンを考える際に,この結果は重要な意味をもっといえよう。この論文は現時点では大阪府立大学経済学部のディスカッションペーパーシリーズの中に収められているが,国際的査読雑誌に投稿中である。 また,その他のトピックとして,平成21年度には (1) 高齢化による介護需要の増加が,経済成長経路に及ぼす効果についての理論的考察 (2) 人口が内生化された経済モデルにおいて妥当と考えられる経済厚生基準についての考察についても関心を寄せていた。これらに関しては平成22年度に考察する予定である。
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