2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530180
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
羽森 茂之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60189628)
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Keywords | パネルデータ / 非定常時系列 |
Research Abstract |
平成23年度の研究成果として、「非定常パネル時系列分析の実際の経済データへの応用」に関して、2本の論文を、海外の英文学術専門誌から発表することができた。それらの論文で得られた新たな知見は、以下のとおりである。 1.非定常パネル時系列分析の手法を、日本、アメリカ、イギリスの3か国のデータに応用し、フィシャー効果(Fisher effect)の成立に関する実証分析を行った。対象とした標本期間は、1990年1月から2010年12月である。3か国を断面とした月次データからなるパネルデータを用いて分析を行った結果、短期金利と長期金利の双方に関して、完全なフィッシャー効果(full Fisher effect)の成立が支持された。 2.Pesaran(207)によって提唱されたCIPS検定を用いて、サブサハラ以南のアフリカの地域における貿易収支の持続可能性に関する分析を行った。対象とした標本期間は、1980年から2006年である。37か国を断面とする年次データからなるパネルデータを用いて分析を行った結果、次の点が明らかとなった。(1)cross-section dependenceを考慮しない通常の検定方法では、貿易収支の持続可能性が支持された。(2)しかし、cross-section dependenceを考慮したCIPS検定方法では、貿易収支の持続可能性に対して否定的な結果が得られた。つまり、cross-section dependenceの存在を無視した分析結果は、「見せかけ(spurious)」の結果である可能性が指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトを開始して以来、順調に研究成果があがっている。特に、9本の論文を研究成果として発表することができ、しかもその中の8本は海外の査読付き英文学術専門誌から発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究プロジェクトの最終年度にあたる。これまで順調に成果が出ているので、当初の予定通り、研究計画遂行し、次年度末に研究成果報告書を作成したいと考えている。
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