2008 Fiscal Year Annual Research Report
「金融危機」下における企業間信用と銀行融資の機能と役割分担の研究
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20530192
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三輪 芳朗 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (90109158)
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Keywords | 企業間信用 / 銀行融資 / 金融危機 |
Research Abstract |
1990年代初頭以来の日本経済の長期停滞の実相とその発生原因などに関して広範に存在する先行研究の収集と徹底的な批判的吟味が基礎作業となる。平成22年度までの3年間を期間とする研究の初年度にあたる平成20年度には、その準備・基礎作業およびデータを用いた本格的研究の第1段階の実施を計画した。財務省『法人企業統計』(年報と季報)の個表を用いた2007年度に完成した三輪が行った作業の成果の積極的活用、およびとりわけ中小企業に関わるミクロデータを積極的に活用することが作業の具体的手はずである。作業開始後、準備・基礎作業は順調に推移したが、2つの不測の事態の発生により、検討の具体的内容と作業手順の双方で見直しが必要となった。平成20年秋以降の「金融危機」の発生・深刻化が、興味深い新たな検討課題と検討材料を浮上させたこと、および平成20年度後半から21年度前半にかけて利用が確実に可能として当初から予定していたCRD(中小企業信用リスク情報データベース)のデータが、先方の事情あるいは方針変更により利用のための交渉が難航し出し、結局、利用不能となったことである。前者により、新たな金融ショックの顕在化、それに伴う銀行融資と企業間信用に関わる新たな「諸問題」(しばしば「貸し渋り」と呼ばれる)を次々と顕在化させ、各種の情報が新たに入手可能となった。主要検討時期として当初想定していた、平成10年~平成12年の「金融危機」に加えて、それと比較可能な「金融危機」が目前に登場したのである。後者については、長期間にわたる交渉難航の末、データ利用を断念することになった。ここまでが平成20年度の研究経過である。(ちなみに、CRDテータベースの利用を断念し、調査サンプルが毎年入れ替えられるために利用上の問題点・制約が大きいとして、CRDデータとの併用を想定していた財務省の『法人企業統計』(年報と季報)の個表の利用にいっそうの重点を置くこととし、認可を得て実際の利用を2010年1月から開始した。終了予定時期は2010年8月末である。)
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