2011 Fiscal Year Annual Research Report
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20530193
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大森 義明 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (10272890)
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Keywords | 教育 / 離職 / ハザード |
Research Abstract |
教育の離職率に対する因果的効果を識別するために,数多くの変数を除外変数の候補として用いた.除外変数は,教育年数には影響を及ぼすが,離職率には影響を及ぼさない変数である.具体的には,個人の属性(人種,エスニシティ,2種類の知能テストのスコア),両親の学歴,兄弟の属性(人数,性別,出生順),宗教,少年期の同居家族(継母,実母,その他),少年期の家庭の文化的環境(新聞,雑誌,図書館利用カード),18歳までの喫煙経験,17歳時点の居住州での大学の授業料などを除外変数の候補とした.除外変数のリストを幾通りにも変化させながら,教育年数の回帰モデルと離職のハザードモデルから成る同時方程式モデルの最大尤度法推定と対応する離職のハザードモデルの固定効果最大尤度法推定を行った.また,これらの推定値を用い,教育年数を変化させながら,サバイバル(在職)確率や条件付(離職)確率を予測した.その結果,大半の定式化において,教育年数が離職に対し負の因果的効果を持つことが暫定的に見出された.また,同時法的式モデルから推定される教育年数の離職に対する因果的効果の大きさは,除外変数のリストにより異なることが見出された. 内生的な説明変数を含む,混合・プロポーショナル・ハザードモデルの固定効果最大尤度法推定に於いて,既存研究よりも柔軟なベースラインハザード関数の利用を可能とする手法を開発した.手法の有用性をモンテカルロ実験により確認し,先述の離職のハザードモデルの固定効果最大尤度法推定に応用した.結果の一部をワーキングペーパーにまとめ,国際的なジャーナルに投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内生的な説明変数を含む,混合・プロボーショナル・ハザードモデルの固定効果最大尤度法推定に於いて,既存研究よりも柔軟なベースラインハザード関数の利用を可能とする手法を開発し,応用することができた.当初計画にはなかったが,研究を遂行する過程で新たな発想が浮かんだ.
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Strategy for Future Research Activity |
柔軟なベースラインハザード関数を用いる固定効果最大尤度法推定に於いては,生存時間を区間に区切り,ベースラインハザードと時間を追って変化する説明変数が区間内で一定であるという仮定を置いている.真のベースラインハザード関数が区間内で一定であるという仮定から乖離するに従い,推定量のバイアスが絶対値で大きくなることをモンテカルロ実験から確認した.今後は,説明変数の値が一定であると仮定する区間の長さを一定としつつ,ベースラインハザード関数が一定であると仮定する区間の長さを短くしたときに,推定量のバイアスが絶対値で小さくなるかをモンテカルロ実験で確認する.実験から必要性が認められれば,離職のハザードモデルの再推定を行う.
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