2008 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国の農水産物加工における小規模起業開発とマイクロファイナンス
Project/Area Number |
20530195
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊東 早苗 Nagoya University, 大学院・国際開発研究科, 准教授 (80334994)
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Keywords | 農水産物加工 / 小規模起業開発 / マイクロファイナンス / 貧困 / バリュー・チェーン / 国際情報交換 / バングラデシュ:カンボジア:フィリピン |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発途上国農村の貧困層が、農水産物加工分野で起業し、アグロビジネスに効果的に組み込まれることを可能にするための、小規模金融サービス(以下、マイクロファイナンス)の役割について研究することである。 平成20年度は、カンボジアにおける貧困層向け小規模金融の動向を論文としてまとめるところから出発した。引き続き、カンボジア農村での調査を計画していたが、バングラデシュのASAというマイクロファイナンス機関を創設し、世界的に著名なS.Chaudhury氏との連絡調整により、バングラデシュでの調査を優先させることとした。したがって、当初計画していたカンボジアでの調査計画は、平成21年度に実施することとした。 バングラデシュには平成20年8月と平成21年3月に訪問し、上述のS.Chaudhury氏、及びその他の主要スタッフにインタビュー調査を行った。また、ASAの金融サービスの特徴を調べ、農村において実地調査をした。さらに、米国援助庁(USAID)や世界銀行が支援している、農水産物加工のプロジェクトについて調査するため、USAID「カタリスト」プロジェクト事務所、及びホルテックス財団を訪問した。その他、ダッカ大学の人類学部を訪問し、研究上の情報交換をした。3月の出張時には国際労働機関(ILO)バンコク事務所も訪問し、アジア太平洋地域における関連の資料を収集した。 現地調査を通じて浮かび上がってきたのは、マイクロファイナンス機関は貧困層の起業を助け、貧困を削減すると謳ってはいるが、かならずしも起業に向いた金融商品やサービスを提供しているわけではないということである。米国援助庁は、民間商業セクターの取引関係者同士の連携を強化することで、小規模農民が農水産物加工に参入しやすい環境整備(投資資金へのアクセスを含む)を重視していることがわかった。
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