2010 Fiscal Year Annual Research Report
建築・景観規制が土地・住宅の資産性維持に及ぼす影響
Project/Area Number |
20530199
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山田 良治 和歌山大学, 観光学部, 教授 (00135831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 基浩 奈良先端科学技術大学院大学, 経済学部, 教授 (30283948)
堀田 祐三子 奈良先端科学技術大学院大学, 観光学部, 准教授 (40346250)
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Keywords | 住宅政策 / 街づくり / 不動産価格 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画では、主として、以下の内容を掲げていた。 1.建築・景観規制が社会的に許容される上での根拠は、住宅の公共性(公共財・社会財)としての住宅観念の発達であるという点について、経済学の立場からの理論的解明を行う。 2.実証的には、本研究は、建築・景観規制の土地・住宅価格へのインパクトの解明に焦点を当てる。 住宅の公共性についての経済学的理論の検討結果については、住宅及び空間をめぐる様々な事象を検証することを通じて、私的空間とこれを含む集合空間との関係、そしてこの関係において生じる矛盾を回避するための社会的規制と、その根拠となる公共性認識の発展について明らかにした。特に景観形成や地域づくりという分野において、この公共性認識の発展が決定的に重要になることを指摘している。この理論的検証の成果については、「私的空間と公共性」として2010年7月に公表した。 規制の土地住宅価格へのインパクトについては、諸規制が住宅地の安定した街並みを維持させているものの、地価が全国的に下落傾向にあるなかで、価格が上昇するという顕著な事例は見られなかったが、景観が長期にわたり安定して保持されている住宅地に関しては、下落幅が他の住宅地と比較して小さいケースが確認され、地区計画等建築規制にも一定の資産価値維持の効果が見られることが明らかとなった。ただし、この点については、客観的指標等を用いてその効果を示すためには、定点観測等のより中長期にわたる検証が必要であることも明らかとなった。
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