2008 Fiscal Year Annual Research Report
FTA・EPAと地域経済-国際的・地域的影響の計量分析
Project/Area Number |
20530204
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
板倉 健 Nagoya City University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90405217)
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Keywords | 国際経済学 / 貿易政策 / 計算可能な一般均衡モデル |
Research Abstract |
1990年代以降、世界中で締結された地域貿易協定の数は急速な増加を続けている。地域貿易協定には、複数国間や2国間で締結される自由貿易協定(FTA: Free Trade Agreement)や経済連携協定(EPA: Economic Partnership Agreement)が含まれている。FTA・EPAの拡大に伴い、経済的な影響に関する分析が活発に行われている。その多くは、多地域・多部門の計算可能な一般均衡(CGE: Computable General Equilibrium)モデルを利用した政策シミュレーションによる分析である。現在利用が可能である多地域・多部門のCGEデータベースは、113地域(国)57産業を2004年基準で網羅したデータベースである。この既存データベースの枠組みでは、FTAの影響を各国別・各産業別に試算分析することは可能であるが、国内地域への影響を分析することが困難である。自由貿易協定による我が国全体への影響や産業全体への影響を、地域別(都道府県別)に分析する枠組みを新たに構築することで日本の実情により近い政策的な含意を導き出すため、地域別(都道府県別)産業連関表を多地域・多部門のCGEデータベースに整合的な形式で組み込む。そのため、統計処理が可能となるようデータベース全体のデータ形式を変換し地域別・都道府県別産業連関表とのデータ整合性を保ちつつバランス調整を行える作業環境を構築した。また、データバランスを調整するため、情報論のエントロピーに基づいた最適化問題を数値計算プログラムで解いている。計算において生起する困難さを解決するため、現在は計算アルゴリズムの検討を行っている。数値計算の応用例を報告する機会を、2009年2月に世界銀行で得た。
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