2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530209
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
宮阪 雅幸 Chuogakuin University, 商学部, 教授 (50255163)
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Keywords | 地域統合 / 経済成長 / 経済政策 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の学会(日本地域学会)において報告した成長と分配の理論モデルを基礎に置きつつ、地域統合を考慮した2国モデルに拡張するために必要となる文献資料の収集、先行研究の分析と検討に重点を絞って研究を進めた。さらに初歩的な段階ではあるものの、2国モデルの構築に取りかかることができた。また、理論研究を進める中でアジア地域における経済・金融に関する協力関係の重視などといった現実社会での動向にも注目し、理論モデルの構築との兼ね合いから重要と思われる情報の収集も行った。 先行研究の分析と検討に関しては、まず地域統合の効果を検証している成長モデルについて収集した資料を検討し、これらを大きく以下のように整理できた。まず、(1) Rivera-Batiz, RomerらによるR&Dモデルに基づく一連の地域統合と成長に関する研究、(2) Rehmeなどによる政治経済モデル、(3) Peretto, Gaoらによる市場構造モデルである。 (1)は全体として地域統合によるR&Dへの効果に着目し、その成長効果を肯定的に捉えるものである。(2)は地域統合と各国の税率の決定に着目し、この視点から成長への効果を検討している。また、ここに分類したモデルには公的固定資本から生じる国境を超える外部効果の存在などを分析したものも含めている。(3)は地域統合が一国の市場構造を変化させる可能性を考慮して、その厚生水準への効果を分析している。 理論モデルの構築に関しては、本研究が一国内における経済主体間の所得・資産の分配状況を考慮しながら、かつ成長と地域統合の問題にアプローチすることを目的としているため、これに最も適していると考えられる(2)に分類した一連の研究に依拠しながら2国間の統合モデルの構築に取り組んだ。現時点においては、昨年度に学会報告したモデルに対して、政府の生産的支出の外国に対する外部効果の存在を考慮したモデルを構築し、モデルの検討と分析を行っている。
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