2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア経済危機後のインドネシアの地域間経済格差の変化と政策的含意の考察
Project/Area Number |
20530211
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
片岡 光彦 千葉経済大学, 経済学部・経済学科, 准教授 (20321713)
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Keywords | 地域間経済格差 / インドネシア / 要因分解分析 / シフトシェア分析 / 資本ストックの推計 / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究は、日本と経済危機前後のインドネシアの2国を対象として地域間経済格差の変化を概観すると同時に、地域格差の拡大・縮小の変動要因を生産要素の賦存量や産業・地域構造要因から検証した。第3年目となる平成22年度では、従来の研究では実施されていなかったインドネシアの地域別資本ストックを、Perpetual Inventory Methodに基づく推計方法を用いて推計した。さらに、成長会計分析アプローチを拡張した分析モデルを採用して、生産要素の地域配分が一国全体の経済成長に与える影響を分析した。分析の結果、インドネシアでは、資本収益率の高い資源産出地域よりも資本収益率の低いジャワ島中心部に投資が傾斜する非効率な配分状況が観察できた。 インドネシアでは、資本ストックのデータが政府により公表されておらず、加えて、生産要素の地域ごとの賦存量に言及した研究もこれまで行われていないことから、本研究はインドネシアにおける重要な政策課題の一つである地域間所得格差を供給面から分析することで研究上の独自性と政策研究としての意義をを確保している。 しかしながら、この分析は、生産者の完全な効率性を仮定した成長会計分析を採用したことで研究上の課題を残している。今後の研究の方向性としては、生産者の完全な効率性の仮定に準拠しない確率的フロンティア法やデータ包括分析法を適応して、効率性の影響を考慮した生産性成長率を推計する。
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Research Products
(5 results)