2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲーム理論の枠組みを用いた電力取引市場における価格形成モデルとその政策への適用
Project/Area Number |
20530214
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
石井 昌宏 Daito Bunka University, 経営学部, 講師 (90323881)
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Keywords | 電力スポット価格 / 電力先渡価格 / ゲーム理論 / ナッシュ均衡 / 市場支配力 / 非完備市場 |
Research Abstract |
2008年度に得られた研究成果は主に次の2点である. 1、2007年度までは,電力スポット市場における供給者が対称的な発電企業2社の場合のみを研究対象としていた.2008年度は,それを非対称的な発電企業2社の場合,ある寡占市場の場合へと拡張した.いずれの場合についても,発電企業が電力スポット市場で行う戦略的行動のナッシュ均衡を導出し,それを用いて均衡における電力スポット価格式を求めた. さらに,ここから電力スポット価格の変動に関するインプリケーションを得た. 2、電力スポット市場へ提示する供給関数と電力先渡取引の2つを発電企業のストラテジーとする場合に発電企業の戦略的行動のナッシュ均衡を導出した.そして,ここからこのナッシュ均衡における電力スポット価格式に加えて,電力先渡取引市場全体の供給集合を導出した.ただし,現時点では,このモデルでは,対称的な発電企業2社だけを供給者として仮定している. 上記1と2のいずれについても,応用ミクロ経済学および産業組織論の観点から意義のある研究成果であろう.特に,「市場支配力の行使の有無」および「市場支配力の行使の程度」を明確にし,その抑制に関する示唆も得られたことは重要である. また2においては、電力先渡取引市場全体では,取引量があるレベル以上となる場合に,先渡価格と取引量の関係が市場全体の限界費用関数と一致することが示された.この点は先渡市場が市場支配力の抑制手段として機能する可能性を示す結果であり,産業組織論の視点において重要であると思われる.さらに,ファイナンスの視点では,2の成果は非完備市場における資産価格評価の問題の解決にも貢献したといえるであろう. なお,本研究で用いたモデルを基にして,shipping freight rateの分析も行った.
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Research Products
(5 results)