2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530217
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
松川 勇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (50287851)
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Keywords | プライオリティサービス / 地域間連系線 / 送電投資 / 混雑料金 / 送電容量 |
Research Abstract |
最適な送電投資を導く手法としてプライオリティ・サービスを取り上げ、混合整数計画法による送電投資モデルを開発し、プライオリティ・サービスのもとでの需要家の選択・事故時の送電容量の割り当て・送電容量などを分析した。具体例として、送電混雑による市場分断がしばしば発生しているわが国の周波数変換設備を想定し、仮想的な連系線投資について異なる投資コストのもとでのシミュレーションを行った。その結果、プライオリティ・サービスの適用によって需要家の純便益が増加する反面、投資コストが高い場合には送電に対する支払意思額の低い需要家がサービスから除外される問題が明らかになった。 次に、多地域系統を想定した送電網モデルによる送電設備容量の効率的な配分に関して研究を行った。具体的には、6地域・9ノードの送電網のモデルを構築し、地域連系設備の空き容量をChao=Peckの混雑料金モデルによって配分する方式と、現行の連系線容量の配分方式である「N-1基準」との比較を行った。故障の際に、事前に混雑料金を支払った利用者に限って連系線を利用させる方式を適用する「混雑料金ケース」の場合、ある送電線に1回線故障が発生することを条件とした電力取引では、故障が発生しない「全線路健全ケース」に比べて純便益と利潤の合計額がわずかな減少にとどまる。1回線故障が発生する送電線を変更して同様の比較を行った結果、純便益と利潤の合計額が全線路健全ケースに比べて大幅に減少した。しかし、この場合においても、現行方式の適用を想定した「N-1基準ケース」と比較すると、純便益と利潤の合計額はわずかに大きい結果となった。純便益と利潤に混雑料金収入を加えた総余剰でみれば、混雑料金ケースの方がN-1基準ケースよりも有利であり、混雑料金をもとに送電容量を配分することによって効率的な連系線の利用を促進できることが明らかになった。
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