2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530219
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秋葉 弘哉 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60138576)
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Keywords | 国際経済学 |
Research Abstract |
本研究のテーマ「通貨同盟のサイズ効果と厚生分析」の成果はモデル分析と実証研究の二つの部分から構成されている。モデル分析においては、いわゆる新開放マクロ経済学のモデルを3か国から構成される世界を念頭に置いて、修正したモデルとして再定式化して、陽表的な解が得られるようにいくつかの単純化の過程を置いた。その上で2か国による通貨同盟の場合と1国の場合との比較を試みた。モデル分析の結果から分かったことは、通貨同盟のサイズが拡大すると、非同盟国に対する通貨同盟の相対価格は低下し、それに伴い交易条件は通貨同盟に対して悪化する。厚生水準は、実物部分から得られる効用に注目し、通貨同盟および非同盟国の両者において上昇するが、通貨同盟の厚生上の利益は非同盟国の利益の増加よりも大きいことが分かった。 サイズ効果の実証研究部分においては、Rose(2000)に列挙された17の歴史上の通貨同盟のうちから、データが存在し、現在利用可能な14の通貨同盟に関して統計的な検討を試みた。厚生水準の代理変数としては第一次近似としてGDPを用いることにした。サイズの代理変数としては通貨同盟の面積と人口を代理変数として用いることにした。面積がサイズの代理として使用可能になる理由は、貿易論における土地が特殊要素としての取り扱いをされている事実から、正当化されよう。人口は生産要素としての労働の第一次近似として用いようと考えたが、これも近似値としては正当化されるように思われるAlesina and Wacziarg,1998)。
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