2008 Fiscal Year Annual Research Report
正規・非正規雇用間処遇格差是正のための労働市場政策と労働法制に関する理論研究
Project/Area Number |
20530221
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福島 淑彦 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (80367680)
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Keywords | 労働経済学 / 経済政策 |
Research Abstract |
平成20年度は以下の2点、(1)正規雇用・非正規雇用間の処遇格差という観点からの日本労働市場の現状に関する実態調査と正規雇用・非正規雇用間の処遇格差をもたらした労働市場政策及び労働法制に関する調査・研究、(2)スウェーデン及びデンマークにおける正規雇用・非正規雇用間の処遇格差を生じさせてこなかった労働市場政策及び労働法制に関する調査・研究、に絞りインタビュー調査及び文献の調査・研究を行った。 1日本の労働市場の現状、労働市場政策及び労働法制に関する調査・研究によって判明したこと (1)バブル経済崩壊以降、非正規労働者数が増加し続けており、現在総労働者の約4割が非正規雇用労働者であること。 (2)労働者派遣法等の法改正によって非正規労働者の増加が加速したこと。 (3)非正規労働者の増加に伴い、企業の労働分配率(労働コスト)は低下し続けていること。 (4)バブル経済以降と比較して労働市場の柔軟性は高まったが、労働者の置かれている状況は不安定となっていること。 2スウェーデン及びデンマークにおける労働市場政策及び労働法制に関する調査・研究によって判明したこと (1)スウェーデン及びデンマーク両国において、失業者向けのセーフティーネットが日本よりもはるかに寛容かつ充実していること。 (2)スウェーデン及びデンマーク両国においてはセーフティーネットに加えて、職業訓練や教育といった積極的労働市場政策によって失業者をより早く就業状態へ復帰させる政策が積極的に行われていること。 (3)デンマークの解雇法制では、日本に比べてはるか容易に労働者を解雇できる規定になっていること。 (4)スウェーデンの解雇法制の規定は日本に比べてはるか厳しいものであるが、現実には日本よりも労働者を容易に解雇している(できている)こと。
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