2009 Fiscal Year Annual Research Report
東京・大阪における動学的外部経済と内生的経済成長に関する時系列分析及び政策研究
Project/Area Number |
20530226
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鄭 小平 Ritsumeikan University, 経済学部, 教授 (50251012)
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Keywords | 内生的経済成長 / 大阪大都市圏 / 動学的外部経済 |
Research Abstract |
今年度では、主に大阪大都市圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の2府4県)を研究対象として、過去30年間の経済成長および社会経済構造に関する時系列の統計データを収集し、同圏域経済が抱えている課題を指摘するとともに、経済成長に関する要因分析を行った。その結果は次の通り。 まず、大阪大都市圏経済が抱えている課題としては、経済地位の相対的な低下と支店経済化の傾向の強まり、企業活力の衰退と失業問題の深刻化、中心都市の空洞化と周辺地域の人口減少などが挙げられる。その中で、特に経済地位の相対的な低下は同圏域の最も重要な問題と考えられる。次に、大阪大都市圏の経済地位の相対的な低下の原因については、主に外部経済環境の変化と地域の内生的な経済成長力の欠如にあることが明らかになる。中でも、外部経済環境の変化としては産業構造の高度化と経済の国際化が考えられるが、地域の内生的な経済成長力の欠如については動学的外部経済に代表される都市化の経済性とネットワークの経済性がうまく働いていないのが主な理由である。 これらの研究結果は、今後大阪大都市圏のみならず他の地域の経済成長を考える上で重要な意味があると思われる。特に、内生的な経済成長力を高めていくためには、動学的外部経済を生かすように都市化やネットワークの経済効果を強化させる公共政策が必要と考えられる。
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