2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530232
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳥居 昭夫 Yokohama National University, 大学院・国際社会科学研究科, 教授 (40164066)
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Keywords | 経済政策 / 原子力エネルギー |
Research Abstract |
本研究は、下請制が電力産業にもたらす特殊な効果を抽出・評価すること、さらに、電力産業における品質・サービス水準を維持するための産業組織のあり方を論じることを目的としている。この研究の成果を用いて、自由化の進展により、電力産業において現在より下請企業に依存する割合が大きくなった場合、産業の提供する品質・サービス水準、たとえば広域停電の発生リスク等に影響を与える可能性があるのかどうか等を論じる。公益事業が提供する品質・サービス水準は、形成される資本設備のあり方、その運用のされ方と同時に、運用を実現する主体の産業組織にも依存するという仮説を立て、裏付ける契約モデルの分析、および実証研究によってこの仮説を検証する。 本年度は研究の初年度であり、理論モデルの構築、基礎データの収集、シミュレーションモデルの作成を目標とした。理論モデルの骨格となるモデルは、一般のエージェントモデルであり、企業の範囲を明示的に意識した、下請けモデルを構成した。その結果、通常のエージェントモデルと異なり、顕示原理を用いない解が最適となる可能性があることが示されている。この可能性は、インセンティブ構造に大きな影響を与え、最適な組織構成の如何も左右されることも示されている。引き続き、品質維持という目的達成にどのような意味を持つのかが研究される。また、基礎データの収集も順調に進んでいる。ただし、本年度はモデル分析が主となり、いまだデータ整理の段階ではない。理論モデルの構築に基づいたシミュレーションモデルについても、基礎ソフトを導入し、初段階のシミュレーションを実施している。おおむね、理論モデルより示唆される結果を確認している。
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