2009 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の医療制度による非市場的調整機能と制度設計の在り方に関する経済的分析
Project/Area Number |
20530240
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
知野 哲朗 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (40171938)
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Keywords | health systems / Health Data / Health Accounts / 医療制度 / 調整メカニズム / 制度設計 / WHO / OECD |
Research Abstract |
本年度研究の中心はOECD諸国の医療制度の機能と特徴を実証的に検討することである。その問題意識は次のような理由からとなる。医療制度は市場機構に代わる資源配分方法としての社会的な仕組みであるが、各国の医療分野における資源配分や成果の実態は大きく異なっている。その背景には医療制度の相違がある。各国とも医療サービス市場の需給両サイドには様々な政府介入が実施されている。そのためにも、日本のみならず、他国との比較分析が欠かせない。 本年度では昨年の結果を踏まえ、OECDのHealth Dataを通じた実証的研究、OECD諸国のhealth systemsに関するperformanceの研究を実施した。Health Dataによる研究では日本の医療制度を軸として他のOECD諸国のそれを比較分析し、日本の医療制度の経済的機能と特徴を解明している。OECDのA System of Health Accountsに基づいて日本の保健医療支出を機能別、提供主体別、および財源別という側面から検討し、また、各国の医療資源の保有と利用状況に関する実証的分析を踏まえて、日本の医療制度の調整が急速な高齢化という環境条件の変化に対して適切に機能してない点が明らかにされた。 この調整は一般に、医療制度のperformanceに影響することから、公共政策的観点からも医療制度の調整メカニズムが制度設計上、求められている。このためには、本研究でも検討中である医療制度の適切な調整を含む運営の制度設計が問題となるが、その基礎として医療制度の分析的枠組み、および政策手法、そして制度や政策に伴う各主体の反応を含む経済的な考察を進めることが必要となる。本年度はこのような視点からWHOおよびOECDの諸研究を継続、検討している。
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Research Products
(1 results)