2010 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカの経済発展に対する日本の「人的資源育成」援助の貢献-政策的・実証的研究
Project/Area Number |
20530244
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
P. Ratnayake 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90221697)
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Keywords | 人的資源 / 日本の大学教育 / 日本の研修制度 / スリランカ経済 / 教育経済発展 / 教育の質 / 日本政府開発援助 / アジア経済 |
Research Abstract |
平成22年度の実態調査では以下のことを明らかにした。長所として、日本の教育・研修の社会的価値観が高いことである。日本人社会に見られる勤勉性、仕事に対する義務感、忠誠心、相互理解、協力性、責任感、礼儀正しさ、柔軟性、人助けと親切心、無差別性、および教育と研修の実理性が、帰国後の職場での活躍に貢献していることが証明された。80%の調査対象留学生が理論的知識、実用的知識、発表能力、日本との関係の面で改善したと回答した。また、帰国後も地域社会・指導教員・日本の民間団体との関係が続いているという。これは相互利益及び相互理解のある国際交流の発展に貢献している。短所として、専門を深く教える制度の不足、成績評価方法のあいまいさ、教育システム規則が一般化されていない。40%の学部留学生は、研究能力、履修プログラムの質、勉強に対する自信、勉強に対する責任力は改善できなかったと回答した。学部教育の質の低さの要因は、出席点が単位取得に影響しないこと、教授との関係が重視されること、共通の試験制度や評価制度が存在しないこと、大学が教員に与える権限が多大なこと、専門科目全ての題材をカバーしないこと、国際水準の専門科目シラバスの未導入であること、チュートリアルやアサインメントがないことがあげられる。よって、学生にとって単位取得が簡単であり、GPAの国際的な信用性が全くない。しかし、日本はアジア・世界の教育センターとして発展する可能性が非常に高いと考える。なぜならば、途上国は数百年もの西洋植民地支配で失った伝統的な社会的価値観は、日本だけからしか学べないからである。欧米諸国から学問的/専門的なことを学ぶだけでは自国の持続的経済発展に貢献できない状態にあるからだ。よって、日本の大学は国際社会に真に通用できる改革が必要である。
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