2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530255
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
阿部 茂行 Osaka University of Commerce, 政策学部, 教授 (60140076)
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Keywords | 経済発展モデル / アジア / 実証分析 / FTA / 中国とインド / 部品貿易 / 生産ネットワーク / GMS |
Research Abstract |
フィリピン、タイ、マレーシア、中国の輸出志向の経済発展の実証分析をより深化させた。UNCOMTRADEデータやIOデータを駆使して、アジアの生産ネットワークの現状、それに依存するアジア経済発展の典型的なパターンを上記四ヵ国で観察した。ことにタイの自動車産業の発展を位置づけ、ノックダウン組み立てから、直接投資を誘致し、アジア全域から部品を調達、オーストラリアや中東へ輸出するまでになった工業化の経緯を詳細に分析した。アジアのデトロイトを目指す工業化の過程を貿易データで跡づけ、自動車の輸入国から輸出国へとの変貌はそれ自体、ユニークな発展パターンであるが、輸出の大部分が日本車で、ある意味で借り物の工業化であることが明らかになった。 生産ネットワークの進展は、これまでそこに組み込まれていなかった諸国にも機会を与えるものである。ASEANのニューカマーはまさにこうした状況におかれていて、おりしも、東西回廊の建設がGMS諸国にこうした機会を与えた。貿易データや日系企業の直接投資動向の資料を東洋経済のデータベース等から収集し、この地域の生産ネットワークにも分析をすすめた。 生産ネットワークの進展には貿易の自由化が必須である。ことに家電については関税はFTAにおける原産地原則に関わる証拠書類を整えるより安価になった現状をみると、さらなるFTAの必要性は認められないが、この地域のよりダイナミックな発展のために、長期的には金融や投資を含めた、地域統合化が、そしてその組織化が必要なことから、アジアの国際機関が果たすべき役割について調べ、多くの研究者と議論することにより、新しい知見を得た。これをまとめたWorking Paperを執筆した。 また、中国・インド経済についても基本的な調査を開始した。中国については産業連関表、地域産業連関表、日本-中国産業連関表を入手し、産業連関分析をはじめるべく年度の違い、部門数の違いなどに対処するため、データの整理に入った。
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