2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530262
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 光一 Hokkaido University, 大学院・経済学研究科, 教授 (30225594)
|
Keywords | 財政学 / 地方財政 / 地方分権 / 三位一体改革 / 道州制 / 地方交付税 / 地方債 / 国庫支出金 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地方財政の分野において、制度とそのメカニズムとの関係を体系的に分析し、制度分析の基礎を確立することにある。研究対象は、地方財政制度であり、我が国における現在と過去の制度、および諸外国における制度である。各制度を法律に則して数学を用いて定式化し、制度の特性を明らかにしながら、制度の下で経済主体の合理的な行動はどのようなメカニズムを生じさせるかを理論的に考察する。制度とそのメカニズムの関係を解明していくことは、現在、制度改革が迫られている地方財政において、1つの重要な理論的基礎となるものである。 平成21年度は、研究期間の2年目である。前年度から行ってきた制度分析の発展を図ってきており、日本の現行制度の分析を中心としながら、日本の過去の制度と諸外国の制度を含め、体系的な分析を行ってきた。研究の成果としては、主に現行の地方財政制度の制度分析を行い、北大の紀要に「地方財政構造に関する一考察」というタイトルで論文を発表した。この論文は、今後の研究の1つのステップとして書かかれたものである。 さらに、科研費を用いて、地方財政制度の分野における電子化したデータベースの充実を図ってきた。制度を研究する上で、日本および諸外国の法律やデータ等、非常に多くの資料が必要である。資料・データが徐々に充実してきたことは、今後の研究の重要な礎となるものである。 また、制度に関する自分の考えをより深いものにするため、科研費を用いて出張し、旧自治省の事務次官経験者との話し合いをもってきた。現在、地方財政の分野における重大な問題は、我が国の近年の制度改革が、その時の流行や政治に流された改革のみ行われ、真の改革が行われていないことである。この理由は、制度改革の礎となる理論的な基礎が十分ではないためである。現代経済学における従来の地方財政の理論では、現実問題に対応した処方箋を提供できないのである。制度分析を発展させることこそ重要であると考える。
|