2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530262
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 光一 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30225594)
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Keywords | 財政学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、わが国の地方財政制度を「制度分析」の観点から分析し、わが国の地方財政制度の特性を解明するとともに、望ましい地方財政制度の在り方を示すことにある。地方財政制度について、法律に則して数学的に定式化して1つの理論モデルを構築し、制度の下で経済主体の合理的な行動がどのようなメカニズムを生じさせるかを理論的に分析し、制度とそのメカニズムの関係を体系的に解明する。研究対象は地方財政制度であり、わが国における現在と過去の制度、および諸外国における制度である。制度を法律に則して数学的に定式化して1つの理論モデルを構築し、このモデルを利用して制度とそのメカニズムの関係を解明していくことは、現在、制度改革が迫られている地方財政において、1つの重要な理論的基礎となるものである。地方財政の分野においては、制度改革の必要性が叫ばれながらこれが迷走する中で、いま求められているのは現実の制度に則した理論分析である。 平成23年度は、研究期間の最終年度である。過去3年間の研究成果を踏まえ、制度分析の研究成果をまとめ、明確な研究成果を結実させる段階にある。日本の現行の地方財政制度の分析を中心としながら、日本の過去の制度と諸外国の制度を考察しながら、体系的な分析を完成させる段階となった。わが国の現行の制度、明治以降(特に、昭和初期以降)の制度、および諸外国の制度を取り上げ、これらの各制度について、法律に則して数学的に定式化し1つの理論モデルを構築し、この理論モデルを用いて制度とメカニズムの関係を分析した。さらに、これらの諸制度を包含する「1つの統合した理論モデル」を構築した。「1つの統合した理論モデル」の中で、地方財政の諸制度が制度の特性に応じてどのようなに関係するかを解明するとともに、制度の設定が資源配分の効率性、体系の安定性などにどのような影響を及ぼすかを分析した。
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