2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530263
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤井 英次 関西学院大学, 経済学部, 教授 (20321961)
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Keywords | 実質為替レート / 経常収支 / 人民元 |
Research Abstract |
本年度はInternational Comparison Proram(ICP)が行った2005年度(最新年度)の価格調査を受けて世界銀行が最近行ったWorld Development Indicatorsデータベースの物価水準やGDPシリーズの大幅な修正が、本研究のテーマである不均衡問題の現状の定量的なアセスメントにどのような影響を及ぼすのかについて重点的に実証分析を行ってきた。特に不均衡の根幹を成すとされる実質為替レートのミスアラインメント問題について、世界的に大きな経済・政治問題となっている中国人民元に焦点を合わせながら分析を行った。結果として得られたのは、ICPの2005ラウンドの情報を考慮してデータを修正するか否かの選択は、いくつかめ重要な実証分析結果を大幅に変え得るというものであった。特に中国の場合は、従来のデータから得られていた50~70パーセントの大幅な過小評価という結果が、修正後のデータを使用すると数パーセントから10数パーセント程度の緩やかな過小評価に過ぎないという結果に変わることが判明した。また、同様の結果はインドにも当てはまり、価格調査を始めとする大規模な新興国経済のデータ調査方法そして収集した個別データから国レベルのデータを構築する際の統計的手法のあり方が、従来から議論の多い問題を更に難しいものにしていることがわかった。ただ、いずれの場合にも時計的有意性の観点からは大きな影響は認められなかった。これらの分析結果については、現在学術図書への掲載を目指して改訂投稿のプロセス中である。
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Research Products
(2 results)