2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融グローバル化の下での途上国の資本取引規制のあり方
Project/Area Number |
20530264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒巻 健二 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90295056)
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Keywords | 資本取引規制 / 途上国 / 新興市場国 / 金融グローバル化 / アジア通貨危機 / 世界金融危機 |
Research Abstract |
21年度においては、20年度に行った危機国以外のアジア諸国の資本規制の自由化プロセスについて整理を進める一方、危機国における資本自由化の重要な背景となったと考えられるIMF及び米国の途上国・新興市場国における資本取引自由化の促進姿勢について調査するため、米国調査を行い、IMF Archives、米財務Library、米議会図書館等において資料収集を実施した。収集資料は今後分析する予定であるが、暫定的には、IMFについては資本取引自由化世界経済に利益をもたらすとの論理の下、ある時点より、自律的に加盟国の資本取引自由化の推進を図っていった可能性があること、米国は貿易収支赤字の問題を背景に特定の国をターゲットとして資本取引自由化を要請していったとみられることが明らかとなってきた。21年度においては、更に、これまでの研究成果の対外発信を開始し、上記米国調査時にはIMFにおいて資本規制を研究しているResearch Departmentを訪問しアジア危機国の経験をまとめた論文等(英文)を手交し、資本フローの不安定性のリスクへの対処の重要性を説明した。また今秋のG20に向けFinancial Safety Netについて検討するため設立されたExpert Groupに対し、部外のacademic(各国2名指名)として、アジア危機の経験を踏まえ、資本フローの不安定性に対応するためには、資本流入抑制策の検討、危機時の民間部門の関与の確保(信用残高の維持)及び危機時の流動性供給策の3つがともに必要であることを指摘した。21年度は更に、今回の世界金融危機の背景・原因についてデータ収集等の研究を続け、その予備的な成果を踏まえ、いくつかの国際会議で、今回の世界金融危機の背景や日本の対応策、今後の見通し等について、招待講演を行った。並行して、雑誌や図書に論文をまとめた。
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[Journal Article]2010
Author(s)
渋谷博史
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Journal Title
アメリカ・モデルとグローバル化-III 外的インパクトと内性要因の葛藤(昭和堂)
Pages: 112-164
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