2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方財政におけるソフトな予算制約問題の理論的実証的検討
Project/Area Number |
20530272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 伸郎 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (50275301)
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Keywords | ソフトな予算制約 / 地方財政 / コミットメント / インフラ整備 |
Research Abstract |
3年目で最終となる本年は、地方財政におけるソフトな予算制約問題について、これまで研究において執筆した論文を整理して、書籍としての刊行および雑誌への掲載などを行うとともに、さらなる今後の研究の発展に向け、以下の研究活動を行った。 1 書籍『交通インフラとガバナンスの経済学』の刊行: これまで研究してきた多数の論文などをまとめ、『交通インフラとガバナンスの経済学』を刊行した。この書籍は、交通インフラを形成する地方自治体におけるソフトな予算制約問題を、財政的なガバナンス制度の観点から理論的に整理し、実証した実証分析である。多くの新しいデータを駆使して、理論仮説の検証を試みている。この書籍は、刊行後、「グローカル」「エコノミスト」「経済セミナー」などの雑誌で取り上げられ、書評が書かれている。 2 地方財政におけるソフトな予算制約問題に関わる論文の雑誌掲載 地方財政におけるソフトな予算制約問題を、理論的にモデル化し、そのメカニズムを明らかにした論文が、世界的にも評価される雑誌Journal of Urban Economicsに掲載されることとなった。この論文では、将来に向けての政府の投資がどのような場合に効率的になるのか、また、その際に自治体が借入を行う場合、中央政府レベルでの借入規制が、どのような場合に有効となるのか、さらに、その状況は自治体間の住民移動にどのような影響を受けるのかが明確に示されている。 3 研究のさらなる発展に向けた情報収集 上記で述べた論文や書籍の内容を深め、今後の研究のさらなる発展に向けて、2010年度の後半は、以下の研究活動を行った。第一に、オーストラリア国立大学の公共政策大学院において、専門家と数多くの議論を行った。第二に、オーストラリアの民営化の事例を、オーストラリア日本大使館と連携して調査し、民営化という政府のガバナンス構造の改革が、ソフトな予算制約問題の解決を通じて、インフラ整備の効率性に与えた影響を分析した。
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