2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530273
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 愼 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (70093565)
|
Keywords | 地方財政調整制度 / 地方交付税 / 地域間財政格差 / 道州制 / パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP) |
Research Abstract |
地方財政調整制度と地域間財政格差に関し、国際比較から得られた財政調整制度に関する知見を活用し、最終的には政策提言に繋げることを想定している。 日本における国と地方の関係および地方公共団体の基本的なあり方は、プロイセン自治制度を参考とした明治時代に遡ることができ、その後第2次世界大戦後にアメリカの制度を参考にして形式的な制度は大幅に変わったものの、現在でもなお中央集権的な色彩を強く帯びている。その特徴は地方交付税制度に端的に表れており、必要コストから収入額を差し引いた差額補てんを行うことが最大の特色である。そのため、「三位一体の改革」で戦後初めて大規模な税源移譲が実現したが、地方財政全体としての地方税拡充にも関わらず、かえって地域間財政格差が拡大することになった。その大きな要因は地方税増加による交付税減少であり、分権の進展が、少規模な団体の財政規模を縮小させるという結果になった。このようなことが起こらないためには、.交付税制度の抜本的な見直しが必要であり、ドイツにおける水平的財政調整制度が参考になる。 また、平成の大合併により市町村数がほぼ半分になったが、都道府県の効率化はまだ取り組まれていない。道州制を導入することで効率化を図り、結果として、国の財政調整総額を減少させる必要がある。 また、道州制導入のような基本的な改革を行う際には、他国での新たな自治体創設の事例が参考になる。この点で興味深い事例が、アメリカ合衆国ジョージア州に2005年12月に新設された人口10万人弱のサンディ・スプリングス市(The City of Sandy Springs, Georgia)である。この市は、業務のかなりの部分を民間企業にアウトソースしており、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の先駆的な例として有名である。
|
Research Products
(2 results)