2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530274
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 喜久 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (50311808)
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Keywords | 投資主体別取引 / 流動性制約 / 株式市場 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の結果を踏まえ、理論モデルの改善と制約付き均衡解の導出およびモデルを基に下記の計量分析を行った。 1. 外国株式市場インデックスの過去一定期間の平均値からの乖離を外国人投資家の流動性制約として定式化した。モデルではこのインデックスの変動を強外性変数として取り扱うことにより、この制約の下で異なる目的関数と異なる流動性制約を持つ経済主体が共存するモデルの均衡解の導出に成功した。 2. 上記モデルに対して、外国株式市場インデックスとして米国ダウ工業株30種平均を採用し、各時点における過去6カ月の平均株価からの乖離を外国人投資家の流動性制約として、モデルの有意性を検証した。その結果、ダウ平均株価下落時に特にモデルは有意に推計され、ボラティリティの持続性も観察された。一方で、ダウ平均株価があまり変動しない平時においては、予想された通りモデルは有意ではなかったが、市場の変動期に出現する特性を包含するモデルの構築に成功していると結論付けた。 3. パッシブ運用の調整に起因する需給バランスに対する投機的売買は、市場に影響を及ぼす規模では行い得ず、証券価格はファンダメンタルズを反映していることを帰無仮説として検証を行った。市場インデックスの変化率に対する各主要株価の変化率の乖離の関数として投機的要因変数を推計し、その有意性を検証した。その結果、標本期間に依存するものの、一部の銘柄においては帰無仮説は棄却され、必ずしも市場が効率的ではない短期的期間が生じ得ることを示唆する結果となった。 企業の主体別株主構成の変化が当該企業のファンダメンタルズに影響を及ぼし得るかどうかの検証を現在行っている途上であるが、概ね今年度に計画していた通りの進捗状況である。
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