2009 Fiscal Year Annual Research Report
金融仲介機関としての投資ファンドの投資回収行動と投資収益率の計量的研究
Project/Area Number |
20530276
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
丸山 宏 Yokohama City University, 国際マネジメント研究科, 教授 (30181837)
|
Keywords | 投資ファンド / エグジット / M&A / 金融仲介機関 / 投資回収 |
Research Abstract |
2000年頃からわが国でも急増した投資ファンドの投資行動、とくに投資の回収(エグジット)行動に焦点を当て、わが国のM&A市場や金融市場に与える影響を計量的に検討することが本研究の目的である。 平成21年度までにレコフ社のM&Aデータベース(マールM&AデータCD-ROM)を用いて、投資ファンドのM&A投資から回収までを把握する2次データベースを作成する作業を行ってきた。会社更生企業に対する投資のケースから始めたが、サンプル数を増加させるため、M&A一般まで分析対象を拡大した。分析期間として2000年から2008年末までを想定していたが、2007年から2008年にかけての世界的な金融不況の影響が大きく、それを緩和するため、データ収集期間を2009末までに延長した。 データベースの構築作業と並行して、投資ファンドの収益率の計測方法を研究した。株式投資や債券投資等の標準的な証券投資と異なり、投資ファンドの収益率は情報開示が乏しいため、公開情報だけでは把握に限界がある。さらに、投資リスクの尺度に関しても、標準偏差や市場との相関といった標準的な方法の適用の妥当性に疑問が投げかけられている。投資ファンドの収益率およびリスクの標準的な計測方法は確立されていないが、近年、海外でベンチャーキャピタルやヘッジファンドの収益率の計測を行った実証分析が出始めている。そうした先行研究を検討し、投資ファンドへの適用可能性を検討した。投資期間に制約があること、流動性の制約、系列相関の可能性なども考慮した実証分析を、計画の最終年度である本年度の具体的な課題としたい。
|