2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会における地方基幹税としての固定資産税のあり方に関する研究
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20530277
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 高志 Kwansei Gakuin University, 経済学部, 教授 (70165645)
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Keywords | 固定資産税 / 高齢社会 / 地方税原則 / 地方分権 / 不動産価格 / 資産評価 / 民間委託 / 課税自主権 |
Research Abstract |
平成20年度における研究は前半において地方基幹税としての機能との関連において、固定資産税の本質論を整理した。この作業の過程で、固定資産税における課税価格の決定すなわち資産評価の問題が重要な意味を有することに着目し、その公正・適正な評価を実現するために、民間の評価機関の活用が可能かどうか、可能であるとするならばどのようなかたちでの委託が望ましいのかについて集中的に研究を行った。得られた研究成果は、『経済学論究』62巻4号に「固定資産税における資産評価事務の民間委託について」として発表しているように、資産評価の民間委託が評価の効率化と財政制約の視点から望ましいものの公権力の行使という視点から、委託可能業務と不可能な業務が存在することを論じた。税務行政の民間委託については先行研究も多いが、公権力の行使に直接関係する課税評価事務に関する研究成果は量的にも質的にも極めて少なく、本研究は資産評価の効率・公正化の研究において一定の貢献をなすものと考える。 次に、年度後半においては、高齢社会における不動産価格の動静と固定資産税の関係を分析した。成果は『国際地域経済研究』に「名古屋市の固定資産税の現状と課題」として発表しているように、名古屋大都市圏の事例研究により、景気悪化が主たる原因であるが高齢者世帯の増加も不動産価格の低迷に影響を及ぼしているが、そのなかで超過課税は不均一課税、課税減免などの課税自主権を活用することで税収の安定性を確保する可能性を示した。
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