2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会における地方基幹税としての固定資産税のあり方に関する研究
Project/Area Number |
20530277
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 高志 Kwansei Gakuin University, 経済学部, 教授 (70165645)
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Keywords | 固定資産税 / 高齢社会 / 地方税原則 / 課税自主権 / 条例減免 / 応益課税 / 一般報償原理 / 償却資産講税 |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、研究実施計画において示したように、まず、関連統計資料より高齢者世帯の固定資産保有状況や家計の経済状態等に関しての前年度分よりさらに詳細なデータベースの蓄積を行った。その結果、低所得の高齢者世帯の固定資産保有の実態と応益税・物税としての固定資産税の位置づけ・性格との調整をとるための施策の必要性が高まってきていることが判明した。そうした施策は地方税法本則の改正により行うことも可能であるが、他方で高齢社会化の進行に伴って地方財政をとりまく環境が厳しくなっていることも併せ考えれば、むしろ自治体ごとの高齢者世帯の実態に合わせた弾力的な施策運用が望ましい。課税自主権の一つである条例減免、不均一課税等の活用により高齢者世帯の固定資産税負担のあり方を個々の自治体が検討する場合、固定資産税は応益税・物税としての性格と人税的な条例減免や不均一課税の合理的根拠を、租税理論の視点から明確にする必要がある。本年度研究成果「課税自主権と法定外税・超過課税の現状・課題」では、こうした問題をとりあげ、課税自主権と条例減免との間に整合性が見出せることを論じている。 また、この検討の過程で、応益税の本質についても明確にする必要があると考え、一般報償原理としての応益税と担税力基準による負担配分の考え方によりそれが根拠づけられることを、それを象徴的に論ずることのできる償却資産課税をとりあげ「固定資産税(償却資産)の現状と課題」「固定資産税における償却資産課税について」において公表した。
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