2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会における地方基幹税としての固定資産税のあり方に関する研究
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20530277
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 高志 関西学院大学, 経済学部, 教授 (70165645)
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Keywords | 固定資産税 / 応益課税 / 一般報償原理 / 個別報償原理 / 土地強化の均衡化 / 課税自主権 / 地方税の減免 / 負担水準 |
Research Abstract |
(1) 研究目的の達成について 研究目的「高齢社会において固定資産税が市町村基幹税としての機能を果たすための要件と課題の整理と改革の方向の明示」について、以下の(2)に示す研究成果を通じて、土地評価の資産間の不均衡の是正と現状分析、課税自主権の活用による固定資産税の減免の論理的妥当性の明示を要件として明確に示し、それら要件への適合と、高齢者を対象とした負担軽減措置の整備を課題として示すことで、研究の目的を達成できたものと考える。 (2) 実施計画と研究成果 (1) 高齢社会にあっての応益課税としての固定資産税についての基本的な考え方の整理 研究成果「高齢社会における固定資産税の負担構造と課題」において、地域別、資産別及び年齢別の固定資産税負担率を算出し、受益と負担の関係が、個別の課税客体というよりも、地域レベルでの応益課税としてとらえたほうが整合性があることを示した。また、研究成果「課税自主権と地方税の減免」においても、減免における公益性の認定と応益課税の関連を考察し、その視点から、応益課税としての固定資産税の位置づけを行う際の諸要件を論じた。 (2) 一般報償原理でみた場合の、高齢社会における固定資産税の負担構造のあり方 主として「高齢社会における固定資産税の負担構造と課題」において、地域間の固定資産税の負担水準の格差が、基準財政需要額の格差と対応していないことを明確にし、課税主体レベルでの受益と負担の一致を急ぐべきことを明らかにした。 (3) 高齢社会において地方自治を支える基幹税としての位置を拡充するための固定資産税改革の基本的視点と方向性、具体的な政策提言等のとりまとめ 高齢社会における人税的取扱いの必要性にふれながらも、一般報償原理を明確にしたうえで土地評価の不均衡是正をさらに急ぐべきことを、喫緊の改革の基本的方向として示した。
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