2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 交謹 Kyushu University, 経済学研究院, 准教授 (80305820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 尚久 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (20275118)
松本 守 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (50435096)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 財務破綻 / 私的負債リストラクチャリング / 取締役会 / 社外取締役 / 銀行 / 外国人投資家 / IPO |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、(1)大企業の取締役会改革の要因と効果、(2)IPO企業のコーポレート・ガバナンス、(3)銀行のコーポレート・ガバナンス、(4)財務破綻企業のコーポレート・ガバナンス、をテーマとしている。 これまでの研究成果は下記の通りである。(1)については、取締役会規模・独立性が大きく変化した企業を抽出し、その動機とパフォーマンスの変化を分析した。結果は、日本企業は社会的なプレッシャーから取締役会規模を縮小しつつ、経営機構規模は維持しており、取締役会規模に伴うパフォーマンス改善は見られかい。一方で、社外取締役導入前後でパフォーマンヌ改善がみられるというものであった。この結果は、小規模な取締役会を推奨する実務動向に疑問を投げかけるものである。 (2) については、日本のIPO企業については、コーポレート・ガバナンスに優れていてる企業ほど、外国人持株比率が高くなること、銀行持株比率とコーポレート・ガバナンス構造には明確な関係が見られないという結果が得られた。この結果は、いわゆるコーポレート・ガバナンス改革が、情報の非対称性に直面し、企業と利害関係のない投資家(外国人)にとって重要であることを示唆している。なおこのテーマについては、Working Paperを平成22年度に執筆する予定である。 (3) については、買い手としてM&Aを行った場合の株価反応とコーポレート・ガバナンス構造の関係について分析した。非金融規制企業については、両者の間に非規制企業よりも弱い関係が観察されたが、銀行については、非規制企業のケースと有意な違いは観察されなかつた。この結果は、銀行は規制企業であるものの、民間企業と同程度にコーポレート・ガバナンスが重要であることを示唆している。 (4) については、銀行による金融支援は、財務破綻企業め債務超過転落による上場廃止を防止するために行われていること、また財務破綻企業のパフォーマンスを改善する効果は持たないことを明らかにした。
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