2009 Fiscal Year Annual Research Report
世界的不均衡のメカニズムと所得・資産分布の決定に関する理論的分析および実証研究
Project/Area Number |
20530281
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
竹田 陽介 Sophia University, 経済学部, 教授 (20266068)
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Keywords | 世界的不均衡 / 時間選好率 / 高次の期待 / 資産分布 |
Research Abstract |
1. データの入手・活用 国際間の資本移動について,二つの研究Lane and Milesi-Ferretti (2007)およびGourinchas and Rey (2007)を統合して,国際間の資本移動に関する統計の加工,作成を行った. 2. 理論モデルの構築 連携研究者であるYale大学の浜田宏一教授と共に,サーベイ論文を昨年度出版したのに引き続き,Portfolio Balance Approachに基づく実証研究Estimating an Integrated Model of Monetary and Portfolio-Balance Approaches (with Koichi Hamada)を進行中である. 3. 追加的な研究成果 2007年半ば以降に顕在化したサブプライム・ローン危機に伴い,世界的不均衡に関わる世界経済の状況の変化に対して,次の追加的研究を行った. 「わが国におけるゼロ金利下の非伝統的金融政策の効果に関する実証分析:資産価格の役割」(矢嶋康次ニッセイ基礎研主任研究員との共著)『基礎研Research Paper』No. 10-001, 2010年. そこでは,(1) 日本銀行による金融機関の資金流動性に働きかける非伝統的金融政策は,円名目実効レートに効果がない,(2) 金融資産の市場流動性に働きかける政策のうち,長期国債買切オペの増額は,円安の効果を有する,(3) 中央銀行のバランスシートを通じた効果として,長期国債・共通担保企業金融特別貸付・社債の資産保有比率が高まると円高,株式など金銭信託の保有比率が高まると円安が生じる,ことが分かった.
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