2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530286
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
八塩 裕之 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 准教授 (30460661)
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Keywords | 税負担 / シミュレーション / 税額控除 / 地方財政 |
Research Abstract |
平成21年度の成果として発表した論文はいずれも、所得税・住民税の課税ベース拡大と給付付き税額控除導入による税制改革がもたらす影響について分析した研究である。ただし、そうした改革を消費税の在り方や地方財政改革と絡めて議論した点に、研究の意義が認められる。 まず、「わが国家計の消費税負担の実態について」では、現在税率引き上げが議論され始めている消費税の負担の実態を分析した。消費税率引き上げの問題のひとつは生活困窮世帯における税負担増大の問題とされるが、それを緩和する手段の一つとして、食料品に軽減税率を導入する政策ととともに、所得税の課税ベース拡大と給付つき税額控除導入を組み合わせる改革を実施する場合の効果を数量的に分析した。一方、「グローバル化・少子高齢化にどう対処すべきか」では、そうした課税ベースを広げる改革と給付つき税額控除導入による改革が、グローバル化・少子高齢化の進行の中で、どのような意義を持つかについて議論した。 次に、「個人住民税の課税ベース拡大による地方税改革について」では、住民税の課税ベース拡大が住民における応益性を高めるだけでなく、地方自治体間の税収偏在を大きく是正することを、シミュレーションで示した。国の所得税で給付つき税額控除を導入し、困窮世帯の税負担増に配慮しつつ、住民税の課税ベースを大きく拡大し、一方で法人二税を国税に移管する税制改革が地方財政に大きな影響をもたらしうることが示された。
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