2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方中堅・中小企業および第三セクターにおける企業再生と再生手法・機関の有効性
Project/Area Number |
20530290
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松尾 順介 Momoyama Gakuin University, 経営学部, 教授 (00330340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 瑞彦 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (10368384)
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Keywords | 企業・事業再生 / 中堅・中小企業 / 第三セクター / 地域金融機関 / 法的整理 / 私的整理 / 地域再生 / 投資ファンド |
Research Abstract |
平成20年度は、地方の中堅・中小企業再生について、中小企業再生支援協議会の全国本部や整理回収機構などを訪問調査し、公的機関の役割を検討するとともに、第三セクターの累積問題や地方自治体による損失補償の法的課題などについても調査し、実際の再生事例についても現地でインタビュー調査を行った。その結果、地方の中堅・中小企業再生においては、中小企業再生支援協議会や整理回収機構など、公的機関の役割が重要な位置を占めることが明らかになった。また、ここ数年、地方の中堅・中小企業、地域金融機関ともに問題の抜本的な改善を先送りしてきたが、この間の金融危機によって、もはや先送りできない事態に立ち至っている。このような現状を調査したことから、さらに中堅・中小企業再生の実態調査を行うとともに、第三セクターの破綻処理および再生の実態調査について調査を行い、今後の再生スキームの在り方とその有効性について検討する必要性が大きいことが明らかとなった。その際、20年度の調査・研究を踏まえ、以下の点に留意する必要がある。 (1)地方の中堅・中小企業再生における公的機関の役割を重視し、その活動の有効性や課題を検討するとともに、現在準備中の地域力再生機構などにも注目する。 (2)中堅・中小企業の場合、法的整理よりも私的整理のほうが有効であり、利便性も高いため、ADRなどを含めた種々の私的整理スキームに注目して、調査を進める。その際には、私的整理と法的整理の連続性も視野に入れて検討する。 (3)地方の再生においては、個別の企業や事業だけでなく、地域全体を面的に再生するような試みや第一次産業から第三次産業まで含めた統合的な再生が重要であり、このような再生の可能性を検討する。 (4)その際には、グリーン・ニューディールに示されているように、環境対策や自然エネルギー開発、農業再生や食糧供給に対して世界的な注目が高まっていることに注目して、調査を進める。 (5)事業再生を地域再生の観点を絡めて推進していく場合には、地域金融機関の全面的な支援が重要であり、金融機関が資金面のみならず人的支援や事業連携面での支援を行うことが再生当事者の負担軽減に繋がる。
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