2010 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争期・内戦期における中国江南農村社会経済の実態と変化に関する研究
Project/Area Number |
20530292
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
夏井 春喜 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80155978)
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Keywords | 日中戦争 / 江南農村社会 / 指佃完粮 / 田賦実物徴収 |
Research Abstract |
本研究計画は、1937年から1949年までの日中戦争時期から国共内戦時期の中国江南地域の地主-小作関係を中心とする農村社会経済の実態と変化を、新たにマイクロフィルム化された地方新聞や日本・中国等の諸機関が行った実態調査報告書等の文献資料と、日本及び中国・台湾等に収蔵されている文書史料の分析を通じて考察しようとするものである。平成22年度は『常熟青年日報』等のマイクロフィルムを購入すると共に、主に内戦時期の蘇州・常熟等江南地方の新聞のマイクロフィルムを閲覧し、必要な史料を収集した。資料調査では国外は蘇州博物館、常熟市・呉江市・江蘇省の各棺案館を訪問し、文書資料の所蔵情況を調査し、一部資料について収集した。国内では前年度に引き続き日中戦争時期の米穀を中心とする農産物の集配を中心に資料を調査し、国会図書館、東京大学、京都大学、山口大学、大分大学を訪問し、かなり網羅的に収集できた。資料の分析では、内戦時期の収租状況を中心に考察し、田賦実物徴収と地主収租の関係で、「指佃完糧」という田賦が佃戸から直接徴収され、地主制の形骸化が一層進行していたとの知見を得た。また呉江市档案館所蔵の文書資料を、新聞資料とを対照分析し論文「日中戦争期の呉江県の土地関係簿冊について-呉江県第二区銀金郷・東溪鎮・清水郷の「佃戸調査冊」-」を『北海道教育大学紀要』第61巻第1号に掲載し、更に同档案館所蔵周愛蓮桟関係資料については、2011年9月発行の同第62巻1号掲載予定である。
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Research Products
(1 results)