2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粕谷 誠 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 教授 (40211841)
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Keywords | 金融史 / 公社債 / 利回り / 金融機関 |
Research Abstract |
日本においてこれまでどのような銀行債券が発行されていたのかのデータベースを作成するため,日本興業銀行発行の『全国公債社債明細表』によって,データの入力をおこなってきた。データのかなりの部分を入力することができた。これらは債券の発行について詳しいデータとなっているが,償還に関するデータは得にくい。1920年代の後半以降に償還に関するデータも整備されてくるので,それらもデータベースに整備していく必要がある。償還のオプションがついていると,発行条件に大きな変更があると予想されるからである。また一橋大学図書館により,債券の流通に関するデータを一部入手した。これらを整備し,流通状況に関するデータを整備していくことも必要である。債券の流通価格については,暫定的な分析をおこなった。その結果によれば,国債の流通利回りが最低であり,その次に,南満州鉄道など国策会社の債券が続き,それらとほぼ同等の利回りの水準で,特殊銀行であった日本勧業銀行債券などが続いていた。東京府農工銀行など政府の関与がなく,府県の関与にとどまる銀行の債券の利回りはさらに高く,政府の関与が債券の流通に与える影響が大きいことが判明した。ベンチマークとなる国債の流通期間は,ほぼ10年以内であるが,勧業銀行の債券の期間はさらに長いことも多く,イールドの状況がわからないなかで,長期信用の状況をいかに考察するのかは,今後の課題であることも判明した。会社の規模や業種,さらに残存期間の長短によって,これらがどう変化するのかを考察することが次のテーマとなる。
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