2008 Fiscal Year Annual Research Report
失業保険の構想・制度・運用実態の比較史的研究--日本を中心として
Project/Area Number |
20530299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 和俊 The University of Tokyo, 社会科学研究科, 教授 (20092588)
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Keywords | 失業保険 / 失業 / 解雇手当 / 職業紹介所 / 国際労働機関 |
Research Abstract |
失業保険制度の構想・制度内容・運用実態等について戦前・戦後の歴史的推移を明らかにするという本研究の目的にそって、平成20年度においては主として以下の課題に取り組んだ。 (1)日本の失業給付制度の変化の背景となる制度構想・理念の推移とその原因について、行政担当者・財界人・労働運動家等の関係者の回想録、国会・審議会での論議等を通じて整理を進めた。またそれぞれの時代のマスコミが失業給付制度についてどのようなイメージをもって対処していたのかについても、季節労働者に対する失業給付金支給問題等にそくして具体的内容がわかり.にくかった制度初期の「労働組合による失業給付」について、同時代の文献の閲覧機会を得にその議論をおった。(2)主要国の失業給付制度の推移についてデータを整理した。特に具体的に事例の収集を行い、具体的内容を整理できた。(3)各国の失業給付制度が相互にどのように影響しあって推移してきたのかについで、国際労働機関等の文献資料を用いて検討を進めた。ただしこの点は資料のあるいくつかの時点に限定されたため、21年度以降も引き続き調査を進める。(4)各国の失業給付統計のデータベース作りを進めた。ただし各国のデータが相互に比較可能な形では提供されていないため、それを比較可能な形で整理しなおす課題は21年度以降に持ち越された。(5)非正規労働者の失業に関わって、平成20年度第二次補正予算、および平成21年度補正予算の論議を通じて年度末ににわかに高まった失業給付充実論について、与野党の制度構想の歴史比較的・国際比較的な位置づけを試みている。
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