2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本における試験研究機関・学協会の制度化と産官学連係
Project/Area Number |
20530300
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
青木 洋 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (30258826)
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Keywords | 産官学連携 / 産学連携 / 共同研究 / 試験研究 / 学協会 / イノベーション / 科学技術 / 研究開発 |
Research Abstract |
1.戦前期日本における自然科学系高学歴人材の数量把握 前年度から進めてきた、明治初期の1875年度から1940年度までの自然科学系高等教育機関の卒業者数の実態把握と分析を、日本の外地(植民地)に拡張して実施した。使用した主なデータは『文部省年報』、『台湾総督府統計書』、『関東都督府統計書』(後『関東庁統計書』)、『朝鮮総督府統計年報』である。その結果、卒業者総数は30万2,394人であり、このうち外地の卒業者総数は1万9,037人であった。外地の卒業者数は卒業者総数の6.72%にあたり、決して多い数字ではないことがわかった。 また、内地と同様の増加傾向が、外地の植民地でも確認できることがわかった。外地でも1920年代後半から1930年代にかけて年間卒業者数が増加し、大学卒業者も増加しはじめた。そして、当初は現地人の比率が高かった専門学校卒業者も、1920年代には内地人の比率が平均で6割以上になったこと、大学は当初から平均で8割以上の卒業者が内地人であったことから、外地にあっても内地人向けの高等教育が整備されていったことがわかった。 2.日本における高周波加熱技術の発展と産官学連携 第二次大戦前から戦後にかけての日本の高周波加熱技術の発展について、高周波焼入技術を中心に、産官学連携の視点から、その歴史を調べ考察した。その結果、同技術の分野では、戦前、戦中、戦後と時代が経過するにつれ、産官学連携のネットワークが広がっていったこと、とくに戦中から戦後復興期にかけての厳しい状況下で、濃密な研究協力が展開されていたことがわかった。そして、産官学の研究協力の連鎖の中で、高周波熱錬や日本電子といった新興の専業メーカーが事業化のチャンスをつかみ、業界のリーダーに成長していたことから、産官学の連携の過程で、新規事業が創出され、新しい産業界のリーダーが生まれるメカニズムがあったことが確認できた。
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Research Products
(4 results)