2008 Fiscal Year Annual Research Report
仏語圏諸国における高等技術教育制度と資格-伝統の存続と国際化への対応
Project/Area Number |
20530303
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松田 紀子 Shizuoka University, 国際交流センター, 准教授 (80432201)
|
Keywords | 教育制度 / 高等教育 / 国際化 / 資格 / フランス / 技術教育 / 植民地 / 経済史 |
Research Abstract |
近年、グローバル化とIT/FT「革命」の中でモノ作りの再編を迫られる高度先進諸国では、「理工系教育の危機」「大学院教育の拡充」が叫ばれている。同時に、高等教育制度および資格(学位)制度にはグローバル化の要請が突きつけられており、教育制度改革に国際化への対応が求められている。本研究では、18世紀以来世界的に評価され注目されてきたフランスの高等技術教育制度を手がかりに、新産業および教育制度のグローバル化という二つの課題への対応について、(1)フランスおよび旧仏領諸国で今日どのような差異が生じているかを比較分析すること、また(2)フランスと深い関係を維持してきた中東欧の諸国で、欧州連合への加盟を目前に打ち出されつつある教育制度改革を分析すること、を目的としている。初年度である平成20年度は「伝統の存続」について検証すべく、植民地政策に比して研究が進んでいるとは言い難い、旧仏領インドシナにおける個々の高等教育機関の形成についての資料を、現地の同時代文献に求めた。この時期の資料は、旧仏領インドシナ(現在のベトナム・カンボジア・ラオス)とフランスに散在しているため、ベトナム(ホーチミンおよびハノイ)の文書館での資料収集を試みるとともに、フランス国立文書館海外文書分館(フランス・エクサンプロヴァンス)およびパリを中心に各地の図書館の所蔵資料等から希少な同時代文献の収集を行った。その結果、高等教育機関形成についての具体的な状況について把握するとともに、「職業教育」の制度化が当時の課題として認識されていた点も発掘することができた。後者は産業界への「資格」としての価値と深く関わるだけに、本研究において今後のひとつの論点となりうる。
|