2010 Fiscal Year Annual Research Report
仏語圏諸国における高等技術教育制度と資格-伝統の存続と国際化への対応
Project/Area Number |
20530303
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松田 紀子 静岡大学, 国際交流センター, 准教授 (80432201)
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Keywords | 教育制度 / 高等教育 / 国際化 / 植民地 / 経済史 / 技術教育 / フランス / エンジニア |
Research Abstract |
本研究では、18世紀以来世界的に評価され注目されてきたフランスの高等技術教育制度を手がかりに、新産業および教育制度のグローバル化という二つの課題への対応について、(1)フランスおよび旧仏領諸国で今日どのような差異が生じているかを比較分析すること、また(2)フランスと深い関係を維持してきた中東欧の諸国で、欧州連合への加盟を目前に打ち出されつつある教育制度改革を分析すること、を目的としている。今年度は、研究の軸となるフランスの高等技術教育制度の歴史的経緯と変容について、技術教育の成果ともいえるエンジニアを現場主義の観点から研究する他の研究者らととともに、経営史学会全国大会のパネル・ディスカッションにおいて検討する機会を持ち、その形成史を比較史的に研究する方向性を確認した。また、資格・学理・質保証など教育の国際基準を問うシンポジウム等に出席して各分野の専門家の知見を習得するとともに、フランス含めヨーロッパからの報告者に聞き取りを行うことができた。また、昨年度に引き続き、「国際化への対応」の観点から、現地での文献調査を行うとともに、特に中東欧のEU加盟国における近年の国際化を意図した教育制度の改革について現地で聞き取り調査を行った。EU域内の諸政策について多くの文献を有するヨーロピアン・ユニヴァーシティ・インスティチュート(欧州大学院EUI)等での文献調査のほか、研究代表者の所属大学の大学間交流協定校であるスロヴァキア・コメニウス大学、チェコ・マサリク大学等の教育機関・大学に赴いて現地の国際プログラム担当者から聞き取りを行い、特にEU域内を中心とする学生の国際的モビリティーを促進するいわゆる「エラスムス」制度の整備にともなう大学側の改革や学生の修学や就職に関する新しい課題等について知見を得ることができた。
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