2010 Fiscal Year Annual Research Report
地方ソフトウェア業における工学的技法導入の経営に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
20530319
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊東 暁人 静岡大学, 人文学部, 教授 (40242755)
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Keywords | ソフトウェア産業 / 静岡県 / ソフトウェア工学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ソフトウェア工学分野で過去に研究開発され提唱されてきたさまざまな開発技法・管理手法が、地方に所在するソフトウェア開発企業においてどの程度普及し、その普及がソフトウェアの開発生産性や企業のパフォーマンスにいかなる影響を与えているかを明らかにすることである。そのために最終年度にあたる当該年度においては、おもに、これまで収集・蓄積したデータの分析、とりまとめと関係者によるレビューを実施し、研究成果のとりまとめを行った。具体的には、下記の諸点である。1.データを補足するため前年度に引き続き、ソフトウェア産業の生産性と経営に関する各種データの収集を行ない、比較のため情報処理推進機構のソフトウェアエンジニアリングセンターのデータ活用説明会等に参加した。2.昨年度までに実施したアンケート調査結果のデータの分析を継続し、生産性に影響を与える技法や要因を抽出し、その結果をもとに、他の研究者のレビューを受けた。3.静岡県下の個別企業や他県(宮城・広島・福岡)の業界団体を対象としてヒアリングを実施した。広域圏におけるその県の占める役割や業界内におけるポジションによってバラツキはあるが、いずれの事例においてもIT投資の減退や環境変化により経営的に厳しい状況にさらされ、収益構造の改善が課題となっていることが明らかになった。4.データ分析とヒアリング調査などの結果からは、(1)開発技法の導入・適用、生産性の測定は必ずしも生産性(利益率)と関連を持たない、(2)品質管理は収益性に影響を与える可能性が高い、(3)地方ソフトウェア企業が今後生き残っていくためには人月契約を基本とする請負型開発から独自分野・市場に特化した製品開発へと移行する必要がある、などが明らかとなった。なお、本研究の成果については、平成23年5月に開催される経営情報学会において報告される予定(採択ずみ)である。
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Research Products
(1 results)