2010 Fiscal Year Annual Research Report
多重関係性、多モード性を考慮した企業間ネットワークの分析手法の開発と応用
Project/Area Number |
20530328
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
金光 淳 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (60414075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 亘 日本大学, 理工学部, 准教授 (50395117)
井上 寛康 大阪産業大学, 経営学部, 専任講師 (60418499)
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Keywords | ネットワークモデル科学 / ネットワークモデル / 企業間ネットワーク / 社会ネットワーク分析 / 経済物理学 |
Research Abstract |
本研究は社会ネットワーク分析、ネットワーク科学の最新成果を基盤に、企業と企業の間の取引関係、株式所有関係、役員派遣関係、共同特許関係のような機能の異なる複数関係=多重社会ネットワーク、あるいは役員と企業(2モード)、研究機関と特許と科学者(3モード)のような次元が2種類以上の多モード社会ネットワークを組み込んだ複雑な企業ネットワーク複合体を解析するための分析手法を開発し、開発した技法に基づき日本の企業間ネットワークの分析を行うことであった。 まず研究代表の金光は株式所有関係、役員派遣関係、共同特許関係のような3モードデータを扱える3部グラフの社会ネットワークモデルを考案し、拡大されたソシオマトリクスから、各モードにおける中心性などを測定することを可能にした。金光はさらに欧米の取締兼任とは異なり、他企業に移籍する日本的な役員派遣関係を測定するためのモデルとして、企業の支配関係に注目した役員派遣測定モデルを考案した。相馬は経済社会学の観点から株式所有ネットワークにアプローチし、その成果はCambridge University Pressから出版された。井上は特許ネットワークを中心に、取引と共同特許出願のネットワークの関係性について数多くの研究成果をあげた。取引関係のネットワークが知識のネットワークにかなり影響を与えることを明らかにした。それは「取引の流れによるイノベーション波及」とも言えるものである。 残念ながら、すべての企業間関係ネットワークデータを統合した分析は各自が所有するデータ所有権の制限から実現できなかったが、多重・多層ネットワークを組み込んだ社会ネットワークのダイナミズムの理解は大いに深まるとともに、最先端の成果を上げたものと自負している。
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