2008 Fiscal Year Annual Research Report
フードビジネスのグローカリゼーションに関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
20530343
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
出口 竜也 Wakayama University, 観光学部, 教授 (60237021)
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Keywords | フードビジネス / グローカリゼーション / 食文化 / 外食産業 / 翻訳的適応 |
Research Abstract |
本研究は、いわゆる「フードビジネス」(食関連産業)に焦点を当て、そのグローカル化(同質化という意味でのグローバル化と、多様化という意味でのローカル化の同時進行)のプロセスを「企業」と「消費者」の相互作用がもたらす「食の内容」や「食のスタイル」の変遷の視点から分析し、理論的かつ実証的に検討することを主たる目的に進められているものである。 今年度は、各種資料の収集と文献研究、フードビジネス関連の企業へのインタビュー、アメリカ西海岸を対象地域とした調査研究を行い、以下の点を明らかにすることができた。(1)各種技術の発達にともなって生じている国境を越えたヒトの移動の活発化は、さまざまな地域の食文化の世界的規模での相互普及を促進している。(2)ヒトの移動と呼応するように、フードビジネスの海外展開も活発になっている。(3)システム技術の開発は、外食産業のチェーン展開による事業拡大を可能にしている。(4)だが、このシステム上に乗せられるメニューはそれぞれの国・地域によって多様であり、必ずしも同一のものではない。(5)食文化が輸出された地域で変遷を遂げたメニューが発祥の国・地域に「逆輸入」される動きも見られる。(6)外来の食文化は、地域の食材事情や嗜好、そして何よりも調理人のセンスによってアレンジされ、受け入れられれば定着する。 上記の成果を踏まえ、引き続き新たな外来の食文化の受容の動態について「経営学」と「人類学」の視角から検討を加え、フードビジネスがグローバル社会においてきわめて重要な役割を果たす存在であることを明らかにしていく。
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